通信制高校に通っていると、全日制高校よりも大学進学に関しては不利になるのではないか、と不安を持っている人は少なくないでしょう。
しかし、実際にはどうなのでしょうか。
通信制高校から大学進学をするのは不利なのか、なぜ不利だと言われてしまうのかなどを詳しく紹介します。
通信制高校は大学進学には不利になるのか
結論から言えば、通信制高校は大学進学に対して不利になることはありません。
大学進学を目指すには高校卒業資格を取得しているか、取得見込みであることが条件になります。
高校卒業資格は、全日制高校は当たり前ですが取得できますし、通信制高校でも問題なく得ることができます。
仮に通信制高校という学歴が評価を下げてしまうのではないかと思っている人がいるとすれば、それは誤解です。
大学進学の際に願書に学校名を記載する欄はありますが、全日制高校なのか通信制高校なのかを書く欄はありません。
また、AO入試であっても通信制高校からチャレンジすることは可能です。
しかし、通信制高校からの大学進学率は全日制高校よりも低いというのも事実です。
高校卒業後の大学進学率
全日制高校(全日制・定時制)と通信制高校の大学進学率を見てみましょう。
項目 | 大学進学者率 |
高等学校(全日制) | 54.4% |
高等学校(定時制) | 13.8% |
高等学校(通信制) | 16.7% |
このデータを見る限り、確かに全日制高校の進学率に比べると通信制高校の大学進学率は低いです。
決して不利だからというわけではないのですが、なぜこのような結果になるのでしょうか。
通信制高校での大学進学率は低い理由はなに?
通信制高校での大学進学率が低い理由は、以下のようなものが考えられます。
・大学進学よりも専門学校に進学した人が多いから
・就職が目的な生徒も比較的多いから
既に社会人として活躍していて高卒資格取得だけが目的だったから
通信制高校に通う生徒の中には、ただ高卒という学歴が欲しいと思っている人も少なくはありません。
既に社会人として仕事をしていて、大学進学をせずに転職の為に必要になって通信制高校に通っているというケースもあるからです。
こういった場合は、大学進学よりも夢の実現が優先されるので、進学率が低いのも納得です。
大学進学よりも専門学校に進学した人が多いから
専門学校への進学率を同じデータで見てみると、全日制高校で16.8%、定時制高校で16.3%、通信制高校だと21.6%とほとんど差はないものの、通信制高校の専門学校進学率はそこそこ高くなっています。
全日制高校の多くは普通科や商業科などのコースはありますが、専門科目に特化したコースを設置している学校は多くありません。
対して通信制高校は、専門科目に特化したコースを設置している学校が数多くあるので、就きたい職業に近づくために専門学校への進学を選択する生徒が多いのでしょう。
就職が目的な生徒も比較的多いから
大学進学をゴールと決めず、就職をゴールと考えて通信制高校を選択する生徒も多いです。
通信制高校でも卒業すれば高卒資格を取得することができるので、就職の際には有利になります。
また、中卒よりも選択できる職業の幅も広いので、資格取得の為に通信制高校に通っているのであれば、必然的に大学進学率は低くなります。
大学進学において、通信制だからこその注意点
通信制高校から大学進学を目指すのに不利になることはありませんが、注意しなければいけないことはあります。
・同じ目標を持つ仲間との情報交換をすることができない
自学自習なため、つまずいたら勉強が止まる
通信制高校は、基本的には自分で学習管理をしながら一人で勉強をすることになります。
その為不明点でつまずいてしまったら時間をとられてしまうことになるので、学習が進まなくなってしまうこともあります。
ですが、最近では常勤の講師が常に学校にいてくれるのでメールで問い合わせをすればすぐに返答が返ってきます。わからないことが出てきたら積極的に利用すると良いでしょう。
同じ目標を持つ仲間との情報交換をすることができない
全日制高校の場合は、同じように大学進学を目指す仲間と切磋琢磨したり情報交換をすることができます。
しかし、通信制高校の場合は、そういったことができません。
というのも同じように大学進学を目指す仲間ばかりではないですし、大学進学を目指している人が全くいない可能性もあるからです。
同じ目標を目指す仲間と勉強をすることでモチベーションを維持してきた人にとってはつらい環境かもしれませんね。
逆を言えば、志望校を詮索されることもなくなるので、受験に臨みやすいと感じる人には快適な環境といえます。
通信制高校の勉強で大学入試に対応できるのか
一般的な通信制高校の勉強は、中学の基礎から始めることも多いので、大学受験のための学習には対応できない場合があります。
では、結局通信制高校の学習を続けていく中で、不利になることはないが進学は難しいのかと思う人もいると思いますが、そうとも言えません。
大学受験対策をしっかりとしてくれる通信制高校も多数存在する
通信制高校には普通科の他の進学コースや特進コースといった「大学受験に特化」した学習を行ってくれるところもあります。
また、大学進学専門のコースは設置されていなくても通信制サポート校と連携して大学受験対策の為の指導をしてくれる通信制高校も多数あります。
この場合、通信制高校と通信制サポート校のダブルスクールにはなりますが、全日制高校に通いながら予備校に通う、といったような学習方法よりも時間配分がしやすく、コストもそこまでかかりません。
通信制高校でも難関大学への合格は可能なのか
結論から言えば、通信制高校でも難関大学への合格は可能です!
通信制高校やサポート校によっては、難関大学への受験を目的とした進学コースが用意されていることがあります。
こういった通信制高校やサポート校に通えば、全日制高校のような学校の他に予備校に通って学習をする、といった必要がないので、高校の勉強と並行して受験対策指導を受けることができます。
例えば、神奈川県にもキャンパスがあるトライ式高等学院は、難関大学への進学を目標とした特進科があります。
家庭教師のトライで有名なトライグループが運営しているので、学習に関してはプロフェッショナルです。また、受験対策に対してもプロの講師が一人一人に志望校の合わせて学習プランを提案してくれるので合格に向けたサポートをしてくれます。
トライ式高等学院の詳しい詳細はこちらをどうぞ。

通信制高校で大学入学の為の効率的な受験勉強の方法は?
通信制高校に通いながら大学受験を目指す場合、できるだけ効率的に学習を進めていかないといけなくなります。
なぜかというと、通信制高校はあくまで自分で学習を進めていくことが前提なので、授業自体は全日制高校に比べたらすくないからです。
時間が確保しやすい分、ダラダラしてしまって学習が進まないといったことがあるので、それを防ぐ必要があります。
なので、通信制高校での受験勉強を進めていくコツがいくつかあります。
・ネットを大いに活用していく
・近くにいる先生やスタッフに何でも相談するようにする
サポート校に通って学習を進めていく
通信制高校の中には、大学進学を目的としたコースが設置されていることがありますが、もちろんそういったコースがない学校もあります。
そういった時、自分で学習を進めていかないといけなくなります。
しかし、自分で学習管理をしながら進めていくのは難しいですし、挫折しやすくなってしまいます。
ではどうすればいいのかですが、通信制サポート校を利用していくという方法があります。
通信制サポート校は、通信制高校の学習を卒業までサポートしてくれる学校です。
通信制高校の卒業までをサポートしてくれるだけでなく、大学受験対策も行ってくれる学校もあるので、是非検討してみましょう。
ネットを大いに活用していく
今はネットを利用した学習方法である「eラーニング」を取り入れている通信制高校は増えています。
ネットを利用した学習法は、講義動画を自分の好きなタイミングで視聴することができるので、テキストだけの学習に比べて非常にわかりやすくなっています。
通信制高校は各科目ごとにレポートの提出をし、合格することで単位を取得していく勉強法です。元々は郵便でレポートの提出を行っていたのでタイムラグが発生し、添削指導を受け取るまでにはそれなりに待たないといけませんでした。
しかしネットを利用することでレポートをメール等に添付して送信することができるので、すぐに添削指導を受けることができるようになります。
また、ネットを利用した学習だと、レポートの提出だけでなく、受験したい大学の過去問を解いている時などに不明点が出てきたらその場で先生に質問をすることができます。
返信をすぐに受け取ることもできるので、効率的に学習を進めていくことができます。
近くにいる先生やスタッフに何でも相談するようにする
入試問題は、受験する大学によって傾向が違っています。
志望校に合格することを目標にするなら、大学の出題傾向をしっかりと把握したうえで対策を立てるようにしましょう。
しかし、一人で勉強をしていると難しい部分や限界があります。
その点通信制高校の講師は、毎年大学受験に励む生徒をたくさん指導してきた経験があるので、情報やノウハウが豊富にあります。
もし不明点が出てきたり、どういった出題傾向があるのかがわからない場合は、迷わず質問するようにしましょう。
通信制高校は、全日制高校に比べて生徒一人一人に対してきめ細やかな対応をすることが可能なので、状況や希望に応じて的確にアドバイスをしてくれます。
通信制高校であっても受験することができる推薦入試やAO入試を活用する
大学受験には、大学側が指定する科目の筆記試験で受験を行う一般入試やセンター試験の成績によって合否が決まるセンター試験利用入試が一般的です。
しかし最近では、推薦入試やAO入試での合格者が非常に増えてきています。
文部科学省の国公私立大学入学者選抜実施状況の平成29年度のデータを見てみると、私立大学入学者の中の約5割は推薦やAO入試で合格している人である、となっています。
筆記試験が苦手な人は推薦入試を目指そう
推薦入試は、公募制一般入試、公募制特別推薦入試、指定校推薦入試の3つに分かれています。
受験したい大学の出願条件を満たしていて、尚且つ高校から推薦書をもらうことができれば通信制高校からであっても受験をすることが可能です。
試験内容に関しては、一般的には書類審査、面接、小論文を指定されます。もちろん違う試験内容の学校もあるので、必ず確認しておく必要があります。
ただ、どちらにしても筆記試験が苦手な人にとっては非常に挑戦しやすい入試方法であるといえます。
本人の意欲が個性が問われることになるAO入試
AO入試は、正式名称を「アドミッションズ・オフィス(Admissions Office)入試」といいます。
学力だけでなく、本人の意欲や個性、大学側が求めている学生像に合っているかどうかが判断基準となります。
一般的な審査方法は、内申書や入学後の目標などをまとめた志望理由書をもとに審査されます。また、面接や小論文なども行われ、それらを総合して合否が決まります。
ただし、通信制高校からの推薦入試やAO入試を受験するのは簡単ではありませんが、高校卒業資格があれば誰でも挑戦することができます。
また、万が一不合格であっても同じ大学の一般入試に再度チャレンジすることは可能なので、大学受験に慣れるという意味で挑戦してみるのもいいでしょう。
大学に進学したいけど、行きたい大学がわからない場合
大学進学を目標にしたいけど、どの大学に行きたいのかがわからないという人や、そもそも何を学びたいのかがわからないという人は多いと思います。
そういった時は、自分の目で見て体験してみると良いでしょう。
例えば、大学の体験入学や文化祭へ行ってみるとか、学食でランチをして雰囲気を見たりすると自然と「この大学に入りたいな」という気持ちが出てくることがあります。
また、アルバイトやボランティア、学校で行われる職業訓練に参加してみる等でも、新しい視点を発見することができるかもしれません。
やりたいことを見つけると、それに関連した大学に進学先を絞ることができるので、選びやすくなります。
まとめ
「通信制高校に通っている生徒が大学受験を目指すことはできるのか」について紹介していきました。
通信制高校から大学進学を目指すことは可能ですし、頑張り次第では難関大学に進学することもできます。
ただし大学進学が可能とは言っても、重要なのは「学習方法」です。
大学進学コース等がある通信制高校に入学するのも一つの方法ですし、サポート校を利用して学習を進めていくのも良いでしょう。
自分の進みたい大学を明確にして、その上で必要な学習をしたり、利用できるものは利用するようにしましょう。